大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 昭和45年(特わ)916号 判決

被告人

1

本店所在地 東京都中央区京橋三丁目一一番地

株式会社現代評論社

(右代表者代表取締役 鬼嶋力也)

2

本籍 東京都渋谷区神宮前三丁目二〇三番地

住居

同都世田谷区奥沢六丁目一〇番二二号

会社役員

鬼嶋力也

大正一五年一一月四日生

被告事件

法人税法違反

出席検察官

川島興

主文

1  被告株式会社現代評論社を罰金五〇〇万円に、被告人鬼嶋力也を懲役六月にそれぞれ処する。

2  被告人鬼嶋力也に対し、この裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告株式会社現代評論社は東京都中央区京橋三丁目一一番地に本店を置き、書籍雑誌等出版物の出版販売等を目的とする資本金八〇〇万円の株式会社であり、被告人鬼嶋力也は被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人鬼嶋は、被告会社の業務に関し法人税を免れようとくわだて、広告料・広告賛助料等広告収入の一部を除外して簿外預金を蓄積する等の不正な方法により所得を秘匿したうえ

第一、昭和四二年四月一日から昭和四三年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二九、六四二、八五七円あったのにかかわらず、昭和四三年五月三一日東京都中央区新富町三丁目三番地所在所轄京橋税務署長に対し、所得金額が二六七、〇三九円でこれに対する法人税額が七四、七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって同会社の右事業年度の正規の法人税額一〇、一六四、七〇〇円と右申告税額との差額一〇、〇九〇、〇〇〇円を免れ

第二、昭和四三年四月一日から昭和四四年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が三四、三〇三、一二五円あったのにかかわらず、昭和四四年五月三一日前記所轄京橋税務署において、同税務署長に対し、所得金額が四六五、四九四円でこれに対する法人税額が一三〇、二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって同会社の右事業年度の正規の法人税額一一、七九六、〇〇〇円と右申告税額との差額一一、六六五、八〇〇円を免れ

たものである。(なお所得の内容は、別紙一、二の各修正損益計算書のとおりであり、税額の計算は別紙三の税額計算書のとおりである。)

(証拠の標目)

一、登記官作成の登記簿謄本

一、大蔵事務官作成の次の各書面

1  広告料等収入金額調査書

2  広告収入計上額調査書

3  簿外経費調査書

4  経費調査書

5  公表経費等調査書

6  振出小切手調査書

7  交際費損金不算入額調査書

8  未納事業税調査書

9  簿外損益計算書

10  簿外定期預金現在高及び利息調査書

11  定期預金調査書

一、押収してある次の各証拠物(昭和四六年押二七〇号)

1  収支帳一五冊(符号1)

2  銀行帳八冊(同2)

3  法人税確定申告書一袋(同6)

一、被告人鬼嶋作成の各上申書

一、大蔵事務官の被告人鬼嶋に対する各質問てん末書

一、被告人鬼嶋の検察官に対する供述調書

一、被告人鬼嶋の当公判廷における供述

(法令の適用)

判示各事実は、各事業年度ごとに、被告人鬼嶋につき法人税法一五九条に、被告会社につき同条、同法一六四条一項にそれぞれ該当するところ、被告人鬼嶋につきいずれも所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪なので、被告人鬼嶋につき同法四七条本文、一〇条により犯情の重い第二の罪の刑に法定の加重をし、その刑期の範囲内で被告人鬼嶋を懲役六月に処し、被告会社につき同法四八条二項により各罪所定の罰金額を合算し、その金額の範囲内で被告会社を罰金五〇〇万円に処し、被告人鬼嶋に対し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 松本昭徳)

別紙一 修正損益計算書

株式会社現代評論社

自 昭和42年4月1日

至 昭和43年3月31日

〈省略〉

〈省略〉

別紙二 修正損益計算書

株式会社現代評論社

自 昭和43年4月1日

至 昭和44年3月31日

〈省略〉

〈省略〉

別紙三 税額計算書

株式会社現代評論社

〈省略〉

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例